「今の社会は情報が多すぎる」と感じている人(15〜79歳・7,359人)
83.1%
ただし、スマホの利用時間とは きれいに対応していない
発見① 両端が長い
217.3分と221.8分
発見② 真ん中が短い
最短は183.1分
発見③ 処方が外れる
時間を削っても解けない
「情報が多すぎる」と感じている人は83.1%いる
まず、話題になった数字から。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査で、「今の社会は情報が多すぎる」に対して「そう思う」27.5%+「まあそう思う」55.6%=83.1%。2026年2月に全国15〜79歳の7,359人へ実施したWeb調査だ。
では、そう感じている人はスマホを長く使っているのか
ここが、この記事の本題。
「そう思う」217.3分、「まあそう思う」186.7分、「あまりそう思わない」183.1分、そして「そう思わない」221.8分。
普通に予想するなら、スマホを長く使う人ほど情報が多いと感じるはずだ。ところがいちばん長かったのは「情報が多すぎるとは思わない」と答えた人たちだった。
事実:4区分の利用時間は183.1分〜221.8分の範囲に収まり、回答の強さと時間が一方向に対応していない。
考察:情報過多の感覚は、浴びた量だけでは説明できない。
いちばん短いのは中間層の183.1分——ほぼ全国平均だった
重ねてみると、位置関係が分かる。
総務省の令和7年版情報通信白書によると、全年代の平日のインターネット利用時間は183.9分(休日は192.9分)。ドコモ調査で最も短かった「あまりそう思わない」層の183.1分と、ほぼ重なる。
調査主体も設問も違うので厳密な比較ではない。ただ「情報が多すぎるとは、あまり思わない」と答えた人たちが、ちょうど世間の平均くらいの使い方をしているという構図は面白い。多すぎるとも、少なすぎるとも感じない位置に、平均がある。
ただし「そう思わない」は2.4%=約177人しかいない
データを扱う人間として、ここは必ず書いておく。
全体7,359人に構成比を掛けると、「そう思わない」は約177人(本記事による計算値)。他の区分が1,000人〜4,000人規模なのに対して、この区分だけ桁がひとつ小さい。
サンプルが小さい区分の平均値は、少数の極端な回答で動きやすい。221.8分という数字は、そのまま鵜呑みにできる強さを持っていない。ワテがこの調査を仕事で扱うなら、この区分は参考値として脇に置く。
「相関がない」を、もう少し正確に言い直す
言葉を丁寧にすると、見えるものが変わる。
「相関がない」とひとことで言うと雑になる。正確には、感じる強さと利用時間が単調な関係になっていない——増えたら増える、減ったら減る、という素直な形をしていない。
両端が高い形が示唆するのは、長時間使う人の中に性質のちがう2種類がいるということだ。浴びた量に押されている人と、量は多くても自分で選べている人。同じ「220分前後」でも、中身が別物になっている。
情報が多いと感じる人が挙げるマイナス影響
感覚の話ではなく、具体的な支障として出ている。
上位2つが同率69.1%で「疲労やストレスを感じる」「判断をする時に迷いを生じる」。以下、集中力を欠く64.4%、どの選択肢が良いか決められない59.3%と続く。
注目したいのは下2つだ。「素早く決断してしまう」48.6%、「よく考えずに決断した」43.8%。情報が多いと、決められなくなるだけでなく、雑に決めてしまう方向にも振れる。真逆の症状が同時に出ている。
ところが同じ人たちが、プラスの影響も強く感じている
ここを落とすと、記事として不公平になる。
プラス側は、マイナス側より軒並み高い。新しい知識79.2%、理解を深められた78.4%、比較できた75.1%、一面的な判断を避けられた69.3%。
つまり多くの人にとって、情報の多さは害と益がセットで来ている。ここが「減らせばいい」で片づけられない理由だ。減らすと、比較も検証も一緒に減る。
性年代別では、女性のほうが一貫して高い
この差の一貫性は、けっこう珍しい。
| 年代 | 男性 | 女性 | 差 |
|---|---|---|---|
| 15〜24歳 | 77.2% | 85.0% | +7.8pt |
| 25〜44歳 | 79.8% | 85.0% | +5.2pt |
| 45〜64歳 | 78.1% | 88.8% | +10.7pt |
| 65〜79歳 | 81.4% | 87.1% | +5.7pt |
4つの年代すべてで女性のほうが高く、最大は45〜64歳の10.7ポイント差。男性はどの年代も77〜81%台に収まっていて、年代よりも性別のほうが差を作っている。
調査はここまでしか示していないので、理由は書けない。事実として、45〜64歳の女性は約9割が「情報が多すぎる」と答えている——この層に向けた情報設計は、量より整理のほうが効くと考えられる。
「スマホ時間を削る」処方が的を外しやすい理由
ここまでの数字を、ひとつにまとめる。
数字が言っていること
- ・時間の差は1日30分程度しかない(217.3分と183.1分)
- ・最長は「多すぎると思わない」層(参考値ながら221.8分)
- ・プラスの実感のほうが高い(79.2%と69.1%)
スマホ時間を減らすタイプの処方は、「浴びる量=しんどさ」という前提の上に立っている。ところがこの調査の中では、その前提を支える形がきれいに出ていない。
データの仕事を18年やっていると、こういう「予想した形が出ない」場面にはよく出くわす。そこで数字を無視して結論を通すのか、形が出ないという事実のほうを受け取るのか。後者を選ぶと、打ち手が変わる。
時間ではなく、入口の数と決め方を変える
代わりに何をするか、を置いて終わる。
ワテ自身、スクリーンタイムを見て落ち込むのはやめた。見るべきは合計時間ではなく、どれだけの経路から情報が飛び込んできているかのほうだと考えている。
この調査で分かること、分からないこと
結論を強く言う前に、境界線を引いておきたい。
分かること
- ・情報過多を感じる人が8割を超えているという広がり
- ・回答区分の間で利用時間が大きく離れていないという事実
- ・害と益が同じ人の中で同居していること
分からないこと
- ・因果の向き(多いと感じるから長く使うのか、逆か)
- ・利用時間は自己申告で、端末の実測値ではない
- ・仕事での利用と私的な利用が分けられていない
とくに自己申告という点は大きい。人は自分のスマホ時間を短めに見積もりがちで、そのズレの大きさが回答区分ごとに違う可能性もある。もし「情報が多すぎる」と感じている人ほど自分の時間を長く申告する傾向があれば、実測ではさらに差が縮む方向に動く。
ワテがこの調査を評価するときの結論はこうだ。「時間と情報過多感がきれいに対応する」という前提を置くには、この数字は弱い。前提が弱いなら、その前提に乗った処方も、まず疑ってかかったほうがいい。
まとめ:疲れたと感じたときの3つの問い
「情報が多すぎる」と感じる人は83.1%。けれどスマホの利用時間との差は1日30分程度で、いちばん長いのは多すぎるとは思わない層だった。しんどさの正体は、浴びた量ではなく処理の仕方のほうにある。時間を削る前に、入口の数を数えたほうが早い。
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やま(筋肉データアナリスト)
データ分析実務18年/G検定・FP2級・AFP・証券外務員一種・宅地建物取引士 ほか15資格
本業は事業会社のデータ分析。この記事ではスマホの使い方を指導するのではなく、調査結果の中で予想した形が出なかったときに何を読み取るかという手つきのほうに重点を置いた。制限アプリ等の販売・紹介はしておらず、どの選択をしても筆者に利益は発生しない。
出典・免責
① ケータイ Watch「『情報が多すぎる』8割超が実感 ドコモ調査」(2026年8月22日)k-tai.watch.impress.co.jp/原典:NTTドコモ モバイル社会研究所「2026年情報への向き合い方調査」(2026年2月実施・全国15〜79歳・有効回答7,359人・Web調査)。83.1%(内訳27.5%+55.6%)/回答別スマホ利用時間217.3分・186.7分・183.1分・221.8分/マイナス影響69.1%・69.1%・64.4%・59.3%・48.6%・43.8%/プラス影響79.2%・78.4%・75.1%・69.3%/性年代別77.2〜88.8%
② NTTドコモ モバイル社会研究所 レポート一覧 moba-ken.jp(調査シリーズの概要・年代別のインターネット利用時間)
③ 総務省「令和7年版 情報通信白書」soumu.go.jp(全年代の平日インターネット利用時間183.9分・休日192.9分)
いずれも取得日 2026年8月25日。回答区分ごとの人数(約2,024人・約4,092人・約1,067人・約177人)は、有効回答数7,359人に構成比を掛けた本記事による計算値です。
本記事は公表された調査結果をもとにした一般的な情報であり、特定のアプリ・サービス・健康法を勧めるものではありません。調査は自己申告によるWebアンケートであり、実測値ではありません。心身の不調が続く場合は、医療機関等の専門家にご相談のうえ、読者ご自身の責任でご判断ください。

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