年末調整の住宅ローン控除はいくら戻る?「残高×0.7%」が満額戻らない3つの天井と、2年目以降の手続き・忘れた時の5年ルールを図解【2026年】

執筆者:

カテゴリ:


家計・固定費分析

年末調整の住宅ローン控除
「残高×0.7%」が満額戻らない3つの天井

よくある質問の1位は「いくら戻ってくる?」。答えは残高×0.7%ではなく、3つの天井のいちばん低いところで止まる。年収500万円・残高4,000万円なら28万円のはずが実際は18万円。宅建とFP2級を持つデータアナリストが、戻る額と2年目以降の手続きを図にした。

やま(データアナリスト18年/宅建・FP2級・AFP・証券外務員一種ほか15資格)
筋肉データアナリストの研究所 / 2026-09-14

年末調整で戻る住宅ローン控除の額

3つの天井のいちばん低いところ

①年末残高×0.7% ②借入限度額×0.7% ③納めた所得税+住民税(最大9万7,500円)

年収500万円・独身・残高4,000万円の例

計算上28万円 → 実際に戻るのは約18万円

1年目

年末調整ではなく確定申告。翌年2〜3月に自分で申告する

2年目以降

年末調整で可。税務署の控除証明書+金融機関の残高証明書を会社に出す

忘れたら

翌年1月末までは会社で再調整、それ以降は確定申告。還付は5年間さかのぼれる

年末調整で住宅ローン控除はいくら戻る?答えは「3つの天井の最小値」

「残高×0.7%」は控除の計算式であって、戻る額ではない。控除は納めた税金から引く仕組みなので、納めた額より多くは戻らない。

28万円 ① 残高×0.7%4,000万×0.7% 21万円 ② 借入限度額×0.7%省エネ基準3,000万×0.7% 18万円 ③ 納めた税金所得税9.1万+住民税8.9万 実際に戻る線=いちばん低い天井
年収500万円・独身・40歳未満・2026年入居の省エネ基準適合住宅(一般世帯)の試算。住民税から引ける額は所得税の課税所得の5%(最大97,500円)。

この例では、残高が4,000万円あっても借入限度額3,000万円で21万円に削られ、さらに納めた税金18万円で止まる。10万円ぶんは、どこにも行かずに消える。「いくら戻る?」の答えが人によって違うのは、この3本のうちどれが低いかが違うからや。

年収と残高で「実際に戻る額」はこう変わる:取りこぼしが出るのは年収600万円まで

同じ残高でも年収で戻る額が変わる。取りこぼしがゼロになる境目を試算した。

年収(独身) 納めた税金の枠
(所得税+住民税上限)
残高3,000万円
控除額21万円
残高4,000万円
控除額28万円※
400万円 約11.4万円 11.4万円(▲9.6万) 11.4万円(▲16.6万)
500万円 約18.0万円 18.0万円(▲3.0万) 18.0万円(▲10.0万)
600万円 約24.7万円 21.0万円(満額) 24.7万円(▲3.3万)
700万円 約37.5万円 21.0万円(満額) 28.0万円(満額)
800万円 約53.4万円 21.0万円(満額) 28.0万円(満額)

※残高4,000万円は借入限度額4,000万円以上の区分(子育て・若者夫婦世帯の省エネ基準適合住宅など)を前提。太字=納めた税金で頭打ちになる組み合わせ。所得税は2026年分の基礎控除104万円で計算、社会保険料は年収の14.7%で概算。

ワテが読む限り、年収500万円台までは「残高を増やしても戻る額は増えない」ゾーンに入りやすい。ペアローンや連帯債務で夫婦それぞれの納税額に控除を振り分ける設計が効くのは、この表の太字の人や。

1年目は確定申告、2年目から年末調整:書類は2枚だけ

よくある質問の2〜5位はほぼ全部「2年目以降は年末調整でいいのか」。流れを1枚にする。

1年目:入居した翌年の2月16日〜3月15日に本人が確定申告 登記事項証明書・売買契約書・残高証明書・性能の証明書などを添付(会社では手続きできない) 税務署から「控除証明書」が残りの年数分まとめて届く(紙 or e-Taxの電子データ) 13年なら12枚。なくすと再発行が要るので保管 2年目以降:毎年、年末調整で控除(会社に出すのは2枚) ① 住宅借入金等特別控除申告書(税務署の控除証明書と一体) ② 年末残高証明書(金融機関から10月頃。電子化で不要な場合も)
2023年以降の入居分は、金融機関が残高情報を税務署へ直接送る「調書方式」に対応していれば残高証明書の添付が不要。金融機関の案内で確認する。

申告書に書く数字は、残高証明書の「年末残高」を転記して×0.7%(1,000円未満切り捨て)が基本。連帯債務なら残高に自分の負担割合を掛けてから0.7%。ここで計算を間違えても、会社側の検算で直るか、翌年1月末までなら再調整できる。

いつ戻る?忘れたら?:12月の給与か1月、忘れても5年は取り戻せる

11月書類を会社へ 12月 or 1月の給与還付(給与に上乗せ)住民税分は翌年6月〜減額 翌年1月31日ここまでは会社で再年末調整できる それ以降〜5年本人が確定申告(還付申告)翌年1月1日から5年間 2年目に忘れても、控除の権利は消えない。年ごとに申告し直せば戻る。
還付のタイミングは会社の給与計算の締めによる。所得税で引ききれなかった分は翌年度の住民税から差し引かれるため、現金で戻るのではなく6月以降の天引きが減る。

「2年目の年末調整を忘れた」は、質問の2位(相対需要60)。忘れた年の分は確定申告で取り戻せるし、期限は5年ある。焦って会社に頼み込む必要はない。

10年か13年か:入居した年と住宅の種類で決まる

「10年過ぎたら年末調整はどうなる?」(相対需要46)。控除期間が終わったら、その年から申告書を出さないだけ。期間は入居年で違う。

入居時期 新築・買取再販 中古(既存住宅) 控除率
2014年4月〜2019年9月 10年 10年 1%
2019年10月〜2021年(消費税10%) 13年(特例) 10年 1%
2022年〜2025年 13年 10年 0.7%
2026年〜2030年 13年 10年(省エネ性能の高い中古は13年へ拡充) 0.7%

11年目以降も控除が続くのは、2019年10月〜2021年入居の13年特例と、2022年以降の新築。自分が何年目かは、税務署から届いた控除証明書の枚数を数えれば分かる。残り枚数=残り年数や。

2026年の住宅ローン控除:5年延長と借入限度額の一覧

令和8年度税制改正で、2030年12月31日入居分まで延長された。天井②の「借入限度額」は住宅の性能と世帯で決まる。

灰=一般世帯/緑=子育て世帯(19歳未満の子あり)・若者夫婦世帯(どちらかが40歳未満) 認定長期優良・低炭素 4,500万 5,000万 ZEH水準省エネ 3,500万 4,500万 省エネ基準適合 3,000万 4,000万 省エネ基準を満たさない新築 = 対象外(0円)。省エネ基準適合の新築は2028年以降の入居で対象外の予定
2026年入居・新築/買取再販。控除率0.7%、期間13年。中古は認定・ZEH・省エネで3,000万円、その他2,000万円。合計所得2,000万円以下、床面積50㎡以上(所得1,000万円以下は40㎡以上)が要件。

最大控除額は「限度額×0.7%×13年」で、子育て世帯の認定住宅なら5,000万×0.7%×13=455万円。ただし冒頭の天井③があるので、455万円を受け取るには13年間ずっと年35万円以上の所得税+住民税を納め続ける必要がある。上限の数字は、上限であって期待値ではない。

年末調整の住宅ローン控除のよくある質問

Q. 年末調整で住宅ローン控除はいくら戻ってきますか?

「年末残高×0.7%」「借入限度額×0.7%」「その年に納めた所得税+住民税(最大97,500円)」の3つのうち最も低い額です。年収500万円・独身・残高4,000万円なら計算上28万円、実際は約18万円が目安です。

Q. 住宅ローン控除の2年目以降は年末調整で手続きしますか?

はい。1年目だけ確定申告が必要で、2年目からは税務署の控除証明書(申告書と一体)と金融機関の年末残高証明書を会社に提出すれば年末調整で受けられます。

Q. 2年目の年末調整を忘れた場合はどうすればいいですか?

翌年1月31日までなら会社で再年末調整できる場合があります。それ以降は本人が確定申告(還付申告)をします。期限は翌年1月1日から5年間です。

Q. 住宅ローン控除はいつ入金されますか?

年末調整の場合は12月または翌年1月の給与に上乗せされます。所得税で引ききれない分は翌年6月以降の住民税が減る形で反映され、現金では戻りません。

Q. 住宅ローン控除は10年過ぎたら年末調整はどうなりますか?

控除期間が終わった年から申告書を出さなくなるだけです。期間は入居年と住宅の種類で10年か13年に分かれ、2022年以降の新築は13年です。残り年数は手元の控除証明書の枚数で確認できます。

Q. 連帯債務の場合、申告書の小数点以下はどう書きますか?

年末残高に自分の負担割合を掛けた額を書き、控除額は1,000円未満を切り捨てます。負担割合は1年目の確定申告で決めた割合を毎年使います。

まとめ:持ち帰る3つの数字

3つ戻る額は残高×0.7%・限度額×0.7%・納めた税金のいちばん低いところ。年収500万円台までは頭打ちが出やすい
2枚2年目以降は控除証明書+残高証明書を会社へ。1年目だけ確定申告
5年忘れても5年以内の還付申告で取り戻せる。2026年入居分から制度は2030年まで延長

住宅ローン控除の記事は「手続き」か「制度」のどちらかに寄りがちで、「自分はいくら戻るのか」を納めた税金から逆算して見せるものが少ない。宅建の試験勉強で制度は覚えたけど、数字に落として初めて「上限=期待値ではない」が腹落ちした。ワテの実感や。

やま(筋肉データアナリスト)

宅地建物取引士・FP2級・AFP・証券外務員一種 ほか15資格/データ分析実務18年/食品業界11年

金融機関・不動産会社・税理士事務所の勤務経験はなく、住宅ローンを売る側との利害関係もない。資格マニアとして制度を読み、データアナリストとして数字に落とす立場で書いている。試算は公開されている控除率と税率からワテが計算した概算で、個別の還付額を保証するものではない。間違いがあれば全部ワテの責任や。

出典・注記

制度・手続き=国税庁「年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受ける方へ」国税庁「住宅ローン控除を受ける方へ」/住民税からの控除=総務省「所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方」/2026年の借入限度額・5年延長=道濟会計事務所「住宅ローン控除2026年」(2026年6月7日)・財務省「令和8年度税制改正の大綱」/還付時期・必要書類=三菱UFJ銀行「住宅ローン控除の年末調整はどんな手続きが必要?」。取得日 2026-09-14。アイキャッチ画像:Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

「実際に戻る額」の試算は、独身・40歳未満・給与収入のみ・2026年分の所得税(基礎控除104万円・給与所得控除は年収帯の本則)・社会保険料率14.7%・住民税からの控除上限を所得税の課税所得×5%(最大97,500円)として計算した概算で、扶養家族・他の控除・自治体で変わる。借入限度額は新築・買取再販の2026年入居分で、住宅の性能区分と世帯区分の判定は国土交通省・国税庁の最新資料で確認してほしい。

本記事は一般的な情報提供であり、特定の住宅ローン商品や借入額を推奨するものではない。控除の可否・金額は個別事情で変わるため、判断は読者ご自身の責任で、必要に応じて税理士や税務署に相談してほしい。制度は変更される可能性がある。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です