ホエイパウダー輸入平均単価(2021年1月→2026年1月)
5年で約3倍
約746円/kg → 約2,234円/kg
なぜ
GLP-1で需要爆発 × ホエイはチーズのおまけで増やせない
いつまで
「安売り時代に戻る」シナリオは描きにくい
どうする
待つより「高い時代の買い方」に切り替える
プロテインの袋を持ってレジで二度見した経験、ここ1年で何回ありましたか。3kgで8,000円台やったホエイが、気づけば11,000円超え。筋トレ歴18年のワテにとっても完全に自分事なので、食品業界11年×データ分析18年の視点で「なぜ」「いつまで」「どう防衛するか」を構造からまるごと分解する。
プロテインはどれだけ上がった?【原料単価は5年で約3倍】
まず事実から。体感やなくデータで確認する。
店頭・EC価格にも直撃している。マイプロテインのImpactホエイ1kgは2020年の3,990円→2026年に7,975円と約2倍。エクスプロージョンのWPC 3kgも6,399円→7,899円(2024/9→2025/7)。「昔は3kg8,000円やったのに」という体感は、データで見ても正しい。
主要ブランドの値上げ年表(2024→2026)
2026年に入って、改定が明らかに加速している。
2023年後半〜
ホエイ原料の国際価格がじわじわ上昇開始
2024〜2025年
各社が段階的に改定(例:エクスプロージョンWPC 3kg 6,399円→7,899円)
2026年3月
GronGがホエイ商品を約30%引き上げ。「追加で引き上げる可能性が高い」と明記
2026年6月
明治(ザバス)が6月1日出荷分から約6〜28%改定(粉末17品+バー4品)
2026年7月(いま)
原料は約2,234円/kg(2026年1月時点)で高止まり。高値圏が継続中
ポイントは、値上げしているのが特定の1社ではないこと。国内も海外も、ほぼ同じタイミングで同じ方向に動いている。個社の経営判断というより、川上(原料)で起きていることが川下(店頭価格)に流れてきている構図だ。
なぜ上がる?値上げの犯人を分解する
原料高の背景は、大きく3つに分解できる。
GLP-1薬の普及で、たんぱく質需要が世界規模で膨張
米国では成人の約12%(約3,100万人)がGLP-1受容体作動薬(肥満症治療薬)を使用とされる。食事量が減る治療の性質上、筋肉維持のために医師がたんぱく質摂取を勧める。トレーニングしない人までプロテインを買う時代になった。
ホエイの供給は簡単に増やせない
本記事の核心。次の章で図解する。メーカーからは「販売できるホエイ原料が残っていない」という声すら出ている。
円安・輸送費・エネルギーコスト
ホエイパウダーはほぼ輸入頼み。為替と物流コストの上昇がそのまま仕入れ値に乗る。
需要は急に増えたのに、供給は急に増やせない。値段が上がるのは、市場としてはむしろ自然な反応と言える。
ホエイは「チーズのおまけ」——増産したくてもできない話
食品業界に11年いた人間として、ここが一番伝えたい構造。
ホエイ(乳清)は、チーズを作るときに出る副産物。牛乳を発酵・凝固させてチーズを取り出すと、残った液体がホエイで、それを乾燥・濃縮したものがプロテインの原料になる。
ホエイの生産量を決めるのは
プロテインの需要やなく「チーズの生産量」
だから「プロテインが売れてるからホエイを増産しよう」ができない。供給網は「酪農家→乳業工場→チーズ市場→乾燥設備」と連なっていて、どこか1箇所だけ増強しても不足は解けない。酪農家は世界的に減少傾向、乾燥設備の増設には年単位の投資が要る。需要が2〜3年で跳ねても、供給側は同じ速度で追いかけられない。
既視感のある人もいるはず。かつて国内で騒がれたバター不足も「生乳はまず飲用へ、加工向けは調整弁」という優先順位の構造が背景やった。欲しいものの生産量を、別のものの都合が決めている。
この「主産物と副産物の非対称」は食品原料の値動きを読むときの基本のキで、卸時代に嫌というほど見てきた形そのものだ。
これは便乗値上げなのか?元食品卸の判定
「値上げ=企業の欲」と反射的に思う人もいるはず。便乗値上げ解体記事と同じ物差しでフェアに判定する。
| チェック項目 | 今回のプロテイン値上げ |
|---|---|
| 原価上昇の一次データがあるか | ある。原料単価は5年で約3倍(746円→2,234円/kg) |
| 改定理由を具体的に開示しているか | している。明治「たんぱく原料価格は急激に上昇」、GronGは原料単価の推移を数値公開 |
| 値上げ幅は原価上昇に見合うか | 改定幅は約6〜30%と、原料の上昇幅(約3倍)より小さい。公開情報の範囲では企業側がかなり吸収しているように見える |
ワテの見立て:今回は「構造要因による価格転嫁」の色が濃い。個々の商品まで全部検証したわけではないので断定はしないが、犯人探しをするタイプの値上げではなさそうだ。
いつまで続く?楽観・中立・慎重の3シナリオ
ここからは事実やなく仮説。将来価格は読み切れないので、シナリオで持っておく。
楽観シナリオ
GLP-1向け需要が一服し設備増強が進んで、2027年ごろから緩む。ただし副産物構造は変わらないため、2020年水準(746円/kg)へ戻る展開は考えにくい。
中立シナリオ
需要は高止まり・供給は微増。原料は高値圏で横ばい、店頭価格も「高いのが普通」として定着する。
慎重シナリオ
GLP-1利用がさらに拡大し円安も重なって追加値上げが続く。GronGが「追加で引き上げる可能性が高い」と明記している点は、このシナリオの重み。
3つに共通するのは、「近いうちに安売り時代に戻る」を前提にしたシナリオが描きにくいこと。だとすると、待つより「高い時代の買い方」に切り替えるほうが合理的だ。
高くても筋肉は諦めへん——家計防衛の実務5手
データアナリスト兼トレーニーとして、実務に落とす。上から効く順。
「たんぱく質1gあたり単価」で比べる
価格÷(1食のたんぱく質量×食数)。例:1kg 5,000円・1食25g中たんぱく質18gなら、40食×18g=720gで約6.9円/g。この基準だと「安く見えて1gあたりでは高い」逆転がよく起きる。
買うのは大型セールに寄せる
安くなりやすいのはプライムデー(7月)とブラックフライデー(11月)で、セール時は1〜3割引のケースが多い。ちょうど今月が買い場(攻略記事)。
ソイプロテインを試す
大豆はチーズの副産物やないので、供給がホエイほど縛られず価格も落ち着いている。合うかは個人差があるので小袋から。
食品でのたんぱく質単価も見直す
鶏むね肉・卵・乳製品と1gあたり単価で比較する。粉は「食事で足りない分を埋める道具」に戻すと消費量そのものが減る。
まとめ買いは賞味期限と相談
駆け込み大量買いは、飲み切れなければただの在庫。月の消費量を把握してから買う量を決める。
まとめ:高いプロテイン時代の3つの問い
値上げの犯人は、どこかの企業の欲やなくて「GLP-1で膨らんだ需要」×「チーズのおまけという増やせない供給」の構造。構造は個人には変えられへんけど、買い方は今日から変えられる。それがデータと構造で家計を守る、この研究所のやり方や。
やま(筋肉データアナリスト)
FP2級・食品衛生管理士 ほか15資格/筋トレ歴18年
データ分析実務18年(購買データ)×食品業界11年(メーカー営業7.5年+コンビニ専用菓子卸3.5年)。プロテインメーカー・販売店とは利害関係ゼロの立場から、公開データと業界構造の知見だけで書いている。値上げの話は卸時代の本業ど真ん中。
出典・免責(取得日 2026-07-10)
株式会社明治「価格改定のお知らせ」(2026年6月1日出荷分・約6〜28%改定)meiji.co.jp / GronG公式note「ホエイプロテインの値上げが止まらない」(2026-03-21・原料単価推移746→2,234円/kg・米国GLP-1統計)note.com/grong_jp / 株式会社アルプロン「ホエイプロテイン価格高騰について」(2026-06-12)alpron.co.jp / プライシー「プロテインはなぜ値上がり?」(実売推移・セール時期)pricey.jp / ZENWORKS「ホエイパウダーはどう作られる?」(副産物構造)zen-works.jp。本記事は公開情報にもとづく一般的な情報提供であり、特定商品の購入や健康法を推奨するものではありません。価格・制度は執筆時点の情報で今後変わる可能性があります。購入・栄養摂取の個別判断はご自身の状況に合わせて行い、体調・健康に関わる判断は医師・管理栄養士など専門家への相談をおすすめします。

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